カンジダ症と母子感染
「カンジダ症」は、常在菌であるカンジダ菌という真菌(カビの一種)が、免疫力が落ちたときに過剰に増殖することによって発症します。
健康な状態で免疫力が正常に機能している場合は、カンジダ菌を抑制しますので他の常在菌などと同様にトラブルを引き起こしたりはしません。
体力、免疫力が低下したときに自浄作用が機能しなくなり、過剰な増殖を許してしまうためにカンジダ症として出現します。
妊娠すると、胎児を異物として排除する対象として反応してしまうとを防ぐために、免疫力が低下するメカニズムになっています。
胎児は染色体や遺伝子の半分は父親のものなので、母体と完全に同質では無いため、母体の免疫力が高いと異物と認識してしまい、流産や早産の危険が高くなってしまうのです。
胎児を守るために、母体の免疫力を増えて低下させている時期が妊娠中なのです。
実際に、妊娠するとカンジダ症が発生しやすくなるというデータもあります。
非妊婦の膣内カンジダ保有率は15％程度ですが、妊婦の膣内カンジダ保有率は30％にもなっていて、妊婦は発症リスクが倍も高くなってしまうのです。
母親がカンジダ症を感染した状態で出産すると、産道感染によって赤ちゃんに感染する危険性があります。
つまり、母親から新生児への母子感染です。
胎児に胎盤から感染する胎盤感染では無く、出産時の産道感染なので、カンジダ症の症状が出た場合は出産までにしっかり治療することが大切です。
赤ちゃんのカンジダ感染は致命的ではありませんが、鵞口瘡（がこうそう）や皮膚炎がよく見られる病気です。
鵞口瘡とは、赤ちゃんの口の中にカンジダ菌がはびこってしまい、口腔内や舌に白い苔(コケ)がびっしりと生えてしまう症状で、赤ちゃんの薄く柔らかい皮膚に炎症を起こし、カンジダ皮膚炎となります。
早産で未熟児の場合などは、感染症への抵抗力も無いので、重篤な全身症状となってしまうケースもあるので危険です。
妊娠中の母体は非常にデリケートな状態で、免疫力か落ちているので風邪など他の感染症なもかかりやすくなっています。
安易に薬を飲んで治療することもできませんので、風邪菌やウィルスを貰わないように十分に注意した生活をおくる必要があります。
妊婦はインフルエンザに感染しやすい「ハイリスクグループ」なのです。
インフルエンザはインフルエンザウィルスなのでタミフルやリレンザのような抗ウィルス剤で治療します。
家族などから悪い菌を貰ってしまわないように、妊婦がいる家庭では家族中で気を付けることも重要なのです。
胎児を守るための母体の免疫力低下メカニズムも、免疫力を必要以上に下げ過ぎるのは危険なのです。
腸内環境は免疫機能と大きく関わっていますし、妊娠中は便秘になりやすいのもありますので、便秘予防と腸内環境の正常化を心がけることが大切です。
「腸内フローラの正常化」「腸活」がカンジダの母子感染を予防することにもつながります。
妊娠中に痒みや白っぽいオリモノなど、カンジダ膣炎の症状があればすぐ治療をしますし、36週以上の場合は自覚症状が無いカンジダ菌の保菌状態の場合は治療をして、出産時の産道感染、母子感染の予防をします。
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